オーラルヒストリーとは お知らせ 「戦中・戦後を中国で生きた日本人」について インタビューリスト 関連資料
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『日本軍「山西残留」――国共内戦に翻弄された山下少尉の戦後』に対する評、感想
中目威博氏(新潟産業大学名誉教授)

 著者の米濱さんは元岩波書店の著名編集員である。二高の同窓・葉山達雄の伝記などの出版で、愚生は米濱さんに大変お世話になった。 
 
 さてオーラル・ヒストリー(oral history)とは、歴史研究のために関係者から直接話を聞き取り、記録としてまとめることである。当事者にインタービューすることで、文献からは分からないことが様々に知られるようになる。特に現代史の研究者の間で1990年代以降、オーラル・ヒストリーが注目されるようになり、組織的な取り組みが行われている。
 
 米濱さんのこの著書はオーラル・ヒストリーのトライとしても注目に値する。流石に岩波に長年お務めのこともあってか、この本は大成功と思われる。山下正男少尉の生々しい証言は読む者をしてあの時代を彷彿とさせる。一語千金と評しても過言ではなかろう。これらを記録して下さった著者には感謝の念に満たされる。
 
 米濱さんは同時に詳しい、正確な当時の歴史的背景を記述された。彼の文章には感情に溺れない品格が保たれている。貴重な写真を多く転載しているのも本書の特色の一つであろう。
 
 山西省の日本軍は戦後4年もの間、国民党と共産党の内戦に投入された。その後約5年戦犯収容所に入れられる。この歴史は風化しつつある。著者がこの本を準備している2007年に池谷薫氏による映画と同名の著書「蟻の兵隊」が世に出たが、米濱さんは本書のまえがきで「拙著が屋下に屋を架することにならないように」と書かれているが、何の何の、それどころか、この本は「錦上に花を添える」ものだ。
 
 本書には人名索引が付いている。事項索引があるともっと便利だが。
 著者がさらなる歴史ドキュメンタリーの力作に取り組まれるようご精進を祈る。
(「酔怪大師の放言」121回に掲載)
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